糖尿病の治療は「いかに合併症を防ぎ進行をさせないか」が重要です。

糖尿病を発症してしまうと完治することはなく、発症より一生涯食事制限とともに歩むことになります。

糖尿病の怖いところは”自覚症状がない”ところで、発症しても無症状のことが多く、気付いたときには合併症が進行している点にあります。

慢性的に血糖値が高い状態が続くと、少しづつ全身の血管が傷つき、あちこちに症状が出てきてしまいます。合併症を未然に防ぐには定期受診によるチェック、血糖コントロールがとても重要です。

食事療法

糖尿病の治療の基本は食事療法です。

インスリンを注射している人でも、経口血糖降下剤を飲んでいる人でも必ず行う必要があります。

食事療法は、自分の適正エネルギー量を知り、その範囲で栄養バランスを考えて様々な食品をまんべんなくとることが大切です。

食事を抜いたり、まとめ食いをしたりはせず、朝食昼食、夕食の3食ゆっくりよく噛んで、腹八分目で食べるように心掛けましょう。

また食物繊維を多く含む食品(野菜、キノコなど)をとると、食後血糖値の上昇を抑え、血清コレステロールの増加も防ぎ、便通を改善する作用があることが知られています。

糖尿病の食事療法の考え方は本当は糖尿病患者さんだけに限ったことではなく、現代人全体にとっても大切なことなのです。その人が本来必要としている体格や生活強度にあった適切な量の食事を、栄養の偏りなくバランスよく食べていただくことを目標にしています。

運動療法

食事療法とともに、糖尿病治療において基本となるも治療法です。

減量や心肺機能の改善筋肉の衰えの予防だけではなく、血糖値の改善やインスリン抵抗性の改善にも効果があると知られています。

糖尿病の運動療法で重要なポイントは、「楽しく長続きできる」運動であることです。

運動選手になるための運動ではないので、きつく苦しい運動は必要ありません。運動しながらニコニコと笑っていられるぐらいの余裕がむしろ大切です。

たとえば、「散歩」などもりっぱな運動です。

運動と食事のタイミングですが、できれば食後のほうが血糖改善作用も良く、低血糖になりにくいのでお勧めです。

薬物療法

<経口血糖降下剤による治療>

1種類のお薬で薬物療法行うこともありますが、経口血糖降下薬をいくつか組み合わせて使うこともあります。(表Ⅰ参照)

経口剤の服用に際しては、患者さん自身も薬の名前や効用、副作用などをよく知っておくことが大切です。

もし、転居などで医師や病院をかえる場合には、新しい医師に今まで服用していた薬を正確に伝える必要があります。服用のしかたも、医師の指示を守ることが大切です。

 

<インスリン注射による治療>

インスリン療法は、1型(インスリン依存)糖尿病の人や妊娠を希望する糖尿病患者さんには欠かせません。
また、食事療法や運動療法のほかに、経口剤による治療を行ってもどうしても血糖が正常化しない人、腎臓障害や肝臓障害がある、筋肉の萎縮が強い、極度に痩せている、結核や肺炎のような感染症がある糖尿病患者さんなどにもインスリン療法が用いられます。

インスリン療法をうまく行う為には、血糖の自己測定が役に立ちます。
自己測定値を参考にインスリンを調節し、血糖値を上手にコントロールしていくのです。
インスリン注射は、患者さん本人(幼児の場合は家族)が行います。

最近はペン型の注射器も普及し、簡単にできるようになりました。
注射は、腹部、大腿部の上半分または上腕の外側、臀部の皮下に行います。

 

<血糖の自己測定>

糖尿病の人の最も重要なコントロールの指標は血糖値です。

そこで、インスリン治療を行っている人は、よい血糖コントロールの状態を保つ為に、家庭や職場などでも血糖値を自分で測定するとよいでしょう。
その結果をノートなどに記録し、自己管理に役立ててください。 
測定器については、主治医、またはスタッフに相談して下さい。

 

(表Ⅰ)病態に合わせた経口血糖降下薬の選択

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ごあいさつ

荒牧 昌信